介護が必要になったら
介護とはどのような状況、状態をいうのでしょう。人はさまざまな生活行為を自分自身の心身で生きてきます。決定と選択を自身で行い自分らしさを表現して生活をしています。高齢になったり障害を持つことはこの生活行為がうまくいかなくなったり、手助けが必要になったりすることです。できる限り自立力の維持を心がけながら日常生活の保証と本人の尊厳とプライドを守りながら介助する状況、状態が介護することと考えます。
介護の視点
1).個別性の尊重=一人一人が生活に歴史を持っています。その中で生活習慣や文化を培ってきました。自分の価値観や生活習慣は大切にして欲しいと思っています。
2).残っている能力を生かす=何でも手助けすればいいと言うことではなく、本人の持っている能力、意欲を大切にして、何を何処までできるか確かめることです。そして残っている能力を最大限生かすことで最後まで自分で出来る喜びと意欲を持てるようにする。
3).本人の決定を尊重する=自分の意思や選択で行動を決定することはそれが上手く行かなくともそのことの意思確認ができることが大切です。このことによって意思や希望を表しやすくなり、表現ができない場合洞察することにつながります。
4).生きる意欲、喜びを引き出す=自立支援の要です。生活行為が自身の意思、力でできなくなると自信喪失や劣等感に陥りやすくなります。生きることへの共感を持って接する。
5).社会性の維持=閉じこもりや交流、社会参加がなくなると張り合いをなくしたり自信喪失、意欲低下になります。交流社会参加の機会を持って社会性の維持、拡大に努める。
在宅介護
高齢者を中心に家族、地域の人がいることで環境を急変させない。介護を特別としないで家庭内行動の一環として身体介護家事援助が流れるように計画し、自身でできる範囲は時間がかかっても最後まで見守る。
食事
人は食べることが楽しみです。また、医食同源で大切な生活の行為でありリズムでもあります。高齢者や障害を持つ方は寄りその楽しみが強く生きる意欲にもつながるのもです。
高齢になると物が食べにくくなると言われます。老化が原因ですが、人により違いますが現れやすい症状を列記します。
1).視覚障害(白内障)で認識しにくい。障害の確認。
2).上肢、間接の障害の確認。口への上げ下ろし動作がしにくくなる。
3).歯が無い、入歯、噛み合わせ、唾液分泌の低下で噛み砕きが良くできない。
4).味覚低下で味感覚が濃い味になる。嗜好の変化。
5).嚥下反射が低下して気管への誤嚥、窒息を発生。
6).消化機能の低下で食欲不振、下痢、便秘になりやすい。
7).細胞内液(水分)が低下して脱水症状を起こしやすい。
上記の関係から食事は姿勢をゆったりとして頭は少し前かがみで背筋を伸ばし、腹部に圧迫感の無い形が好ましい。食事は自分のペースでするのが一番ですから自分で食べる為の工夫をする。箸や食事道具にこだわらずその人が使いやすい物を使用して食事をする。食事補助用品などがありますので良く吟味して工夫して下さい。また、現在ではユニバーサルデザインの用品がありますので家族で揃えることもできます。食事用具が家族で揃えば献立や食事の仕方は違っても楽しい雰囲気で食事ができます。
入浴
入浴も楽しみのひとつです。日本人の風呂好きです。外国の方はシャワーで済ますほうが多いようです。浴槽につかって温まる行為が心身をリフレッシュさせます。高齢や障害を持つとこのことがてきにくくなったりします。清潔を保つ為には入浴の他にシャワー浴、部分浴、清拭(体を拭く)などがあります。症状や健康状態で使い分けます。浴室の整備などはユニバーサルデザインと福祉住環境を参照して下さい。
排泄
漏れや出にくいのは年のせいではなく若い人にもよくみられる排泄障害に原因がある。障害のタイプによって異なるので医療、福祉、保健などによく相談してあきらめないで対処することが必要。簡単にオムツ生活にしないこと。排泄にしっかり関わることで日常生活が向上するし廃用性のもんだいを防ぐことができる。
その他に衣服、靴やさまざまな福祉用具があります。このことは実際に確かめたりすることが大切です。福祉用具専門相談員としては東京都地域福祉財団の東京都福祉機器総合センターで確かめられることをお勧めします。
東京都地域福祉財団の事業として福祉機器の情報提供03-3235-8567、福祉機器の相談03-3235-8577を行っています。ご相談下さい。
東京都高齢者日常生活用具の給付についてのご相談、申し込みは区市町村の高齢者福祉担当課、福祉事務所、在宅介護支援センタヘ。
制度については東京都高齢者施策推進疾保健福祉部在宅サービス課在宅福祉課(03-5320-4274)へ。
総じて介護はいままで家族の問題でしたがこれからの少子高齢化に向かって地域の問題として介護保健が施行されました。しかし、戸惑いもあります。情報が少ないことも一因です。自分で調べる情報の参考になればと以下列記します。
業者のサービス形態(介護保険の指定に関係無く列記)
*訪問介護(ホームヘルプサービス)
*訪問入浴介護(訪問入浴サービス)
*訪問看護
*訪問リハビリテーション
*通所介護(デイサービス)
*短期入所生活介護(ショートステイ)
*痴呆性高齢者グループホーム
*有料老人ホーム
*福祉用具貸与・販売
*住宅改修
*緊急通報
*配食
*福祉移送
*寝具乾燥
介護サービスの利用方法
介護保険サービスの利用方法
1)介護保険の対象者
*65歳以上の方(第一号被保険者)常に介護が必要とする状態(要介護状態)、日常生活に支援が必要な状態(要支援状態)になった場合。
*40〜64歳までの方(第二号被保険者)初老期の痴呆、脳血管疾患など老化が原因とされる病気により要介護状態、要支援状態になった場合。
1)上記の介護保険対象者の方で、寝たきりや痴呆など介護が必要になった場合、本人が居住している区市町村に申請を行い、サービスが受けられるかどうか「要介護認定」を受ける必要があります。申請は本人、家族のほか、介護保険制度の指定事業者で居宅介護支援事業者に依頼することができます。
2)申請を受けた区市町村は「要介護認定」の調査を行う為に区市町村の職員ゃ区市町村から委託を受けた居宅介護支援事業者等の介護支援専門員(ケアマネージャー)を本人のお宅へ派遣するとともに、かかりつけの医師の意見書によって要介護度の判定が行われます。結果は原則として30日以内に通知されます。
3)申請の結果、介護が必要であると認定を受けた方は通常心身の状況や家族の状況とともにサービスの限度額、自己負担額を考慮してどのような介護サービスを受けるかについての介護サービス計画(ケアプラン)を立てることになります。ケアプランは本人でも家族でも立てられます。また、ケアマネージャーに相談してケアプランを作成してもらうこともできます。ケアマネージャーにケアプランの作成を依頼しても介護保険の制度上の自己負担はありません。
介護保険でサービスを受けた場合の費用負担
介護保険サービスは要介護度(「要支援」から「要介護度5」までの6段階)に応じて支給限度額が決められています。利用者は支給限度額の範囲内でサービス利用料の1割を負担してサービスを受けることになります。
ただし、福祉用具の購入や住宅の改修については、まず、利用者が代金を全額支払、後から支給限度額の範囲内で利用者が支払った代金の9割を払い戻す「償還払い」となります。
なお、要介護の認定を受け、ケアプランの作成をせず、在宅サービスの指定事業者のサービスを受けた場合でも一旦利用者が全額支払った後に支給限度額の範囲内で支払った代金の9割を払い戻す「償還払い」が受けられます。
介護保険による福祉用具・住宅改修
貸与(レンタル)の対象となる福祉用具の範囲
1.車椅子2.車椅子付属品3.特殊寝台4.特殊寝台付属品5.じょくそう予防用具6.体位変換機7.手摺8.スロープ9.歩行器10.歩行補助つえ11.痴呆性老人俳諧感知器12.移動用リフト(つり具の部分を除く)
購入等の対象となる福祉用具の範囲
1.腰掛け便座2.特殊尿器3.入浴補助用具4.簡易浴槽5.移動用リフトのつり具部分
住宅改修の範囲
1.手摺の取り付け2.床段差の解消3.滑りの防止及び移動の円滑化の為の床材の変更4.引き戸への扉の取り替え5.洋式便器等への便器の取り替え6.その他(1)〜(6)の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修。「福祉用具・住宅改修は製品やサービスに制限がありますので利用にあたっては区市町村の相談窓口等で相談下さい。
その他の高齢者サービス
高齢者サービスは介護保険サービス以外にもさまざまなサービスがあり、全国共通のものから、区市町村単独のサービスまで幅広いものになっています。住んでいる区市町村の相談窓口、在宅介護支援センター、居宅介護支援事業者などを積極的に活用されると情報の収集に便利です。
契約時の話し合い
介護保険制度の要介護認定の決定を受けたら事業者との契約です。事業者は指定を受けた者ですから契約する事業者は利用者が自由に選択して契約できます。契約事ですから契約する際どんなことを話し合い進めていくか利用者、家族も知識として認識が大切です。契約は最初が大切です。契約書をよく吟味することは重要ですがその為の話し合いの進め方です。進め方を以下列記します。(日本看護協会出版会・便利長抜粋)。
進め方
1.本人・家族と「介護サービス見積もり契約用紙」を使って話し合う。
2.生活場面において本人ができること(していること)は何かを把握する。
3.できないこと(介護を必要とすること)は何かを把握する。
4.援助を必要とする背景に何があるのか、課題・問題を解決する方策を考える。
5.いくつかの解決方法を選択肢として示し(考え)、本人・家族に選択してもらいながら進める。
6.自分でできることはやってもらうように本人を組み入れて、できないこと(援助を要すること)を誰が、どう、ケア分担するかを考える。
7.家族については、無理のない範囲で家族援助の内容をどうするか考える。
8.医療・看護サービスの必要性を把握する。
9.自立を促進する福祉用具や住宅改修など生活環境を整える。(現状活用の創意工夫も必要)
10.食事サービス、送迎サービス、宅配サービス、緊急システム等を導入の検討。
11.介護職・ホームヘルパーの仕事量(援助内容・頻度・所要時間)を見積もる。
12.それぞれのサービス事業者と連絡・調整しながらサービスの量と質を確保する。(事業者を選択する)
13.本人・家族の同意するケアプラン案を作成して、サービス担当者会議(ケア・カンファレンス)を経てケアプランを動かしはじめる。(本人・家族も納得いくまでケアプランについては遠慮せず何度でも作り直す気持ちで、ケアプランが動いてからでも質の問題等で事業者を変えたい時、変えることができますので我慢せずに福祉事務所なりの相談窓口、ケアマネージャーに相談することです。)
介護サービスの概要
1.要支援
めやす=歩行や立ちあがりに不安定さがみられる、爪きりや入浴時の浴槽の出入り、体を洗うのに一部介助が必要な状態。(残された機能保持・向上・能力を回復させるような支援がひつよう)
サービス水準=週2回の通所リハビリテーション(ディケア)または、通所介護(デイサービス)が利用できる。
支給限度額=61500円/月
自己負担額上限=6150円/月
*短期入所サービス(ショートステイ)は6ヶ月当りで7日が限度で支給限度額とは別に1日当り9000円から10000円の利用者負担がかかる。
2.要介護1
めやす=歩行や立ちあがりに不安定さがみられる、排泄、入浴、衣服の着脱、服薬など一部介助が必要ような身体面、物忘れが時々見られる(痴呆)状態。(生活の一部に部分的な介護が必要。)
サービス水準=毎日何らかの必要なサービスが利用できる。
支給限度額=165800円/月
自己負担額上限=16580円/月
*短期入所サービス(ショートステイ)は6ヶ月当り14日が限度で支給限度額とは別に1日当り9000円から10000円の利用者負担がかかる。
3.要介護2
めやす=立ちあがりや歩行がほぼ自力でできない、排泄、入浴、衣服の着脱に介助が必要。物忘れや毎日の日課が理解できない、周りの出来事に無関心(痴呆)などの状態。(中程度の介護が必要)
サービスの水準=毎日何らかの必要なサービスを利用でき、週3回の通所リハビリテーション(デイケア)または、通所介護(デイサービス)が利用できる。
支給限度額=201000円/月
自己負担額上限=20100円/月
*短期入所サービス(ショートステイ)は6ヶ月当り21日が限度で支給限度額とは別に1日当り10000円から11000円の利用者負担がかかる。
4.要介護3
めやす=身体面では立ちあがり、歩行が自力でできない、排泄、入浴、衣服の着脱に全面介助が必要。痴呆的には物忘れや周りの出来事に無関心になる。生活の昼夜逆転、介護への抵抗(本来の抵抗ではなく意思表示の場合もあるので十分な観察が必要)が見られる状態。(重度の介護が必要な状態)
サービスの水準=夜間または早朝の巡回訪問介護(ホームヘルプサービス)を含め、1日に2回のサービスが利用できる。医療関係が必要な状態では週3回の訪問看護サービスを利用できる。痴呆の場合は週4回の通所リハビリテーション(デイケア)または通所介護(デイサービス)を含めて毎日必要なサービスが利用できる。
支給限度額=267500円/月
自己負担額上限=26750円/月
*短期入所サービス(ショートステイ)は6ヶ月当り21日が限度で支給限度額とは別に1日当り10000円から11000円の利用者負担がかかる。
5.要介護4
めやす=身体面では日常生活の能力(ひどく)低下、排泄、入浴、衣服の着脱など全面介助が必要、食事の一部介助、尿意、便意が見られなくなることもある状態。痴呆的には生活の昼夜逆転、介護への抵抗、屋外俳諧が見られる状態。
サービスの水準=夜間または早朝の巡回訪問介護(ホームヘルプサービス)を含め、1日3回のサービスが利用できる。医療関係が必要な場合は週3回の訪問看護サービスが利用できる。痴呆の場合は週5回の通所リハビリテーション(デイケア)または通所介護(デイサービス)を含め毎日必要なサービスが利用できる。
支給限度額=306000円/月
自己負担額上限=30600円/月
*短期入所サービス(ショートステイ)は6ヶ月当り21日が限度で支給限度額とは別に1日当り11000円から12000円の利用者負担がかかる。
6.要介護5
めやす=身体面で日常生活に全面的介助が必要。痴呆的には意思の伝達がほとんどできなく、極度の痴呆状態。(過酷な介護の必要状態)
サービスの水準=夜間、早朝の巡回訪問介護(ホームヘルプサービス)を含め1日に3〜4回のサービスが利用できる。医療関係では週3回の訪問看護サービスが利用できる。
支給限度額=358300円/月
自己負担額上限=35830円/月
*短期入所サービス(ショートステイ)は6ヶ月当り21日が限度で支給限度額とは別に1日当り11000円から12000円の利用者負担がかかる。
ここに列記しましたのは介護が必要になった時の初期の目安です。介護は大変です。一人で、家族で悩まず支援を受けられるものは受けて日常生活を少しでも取り戻しましょう。







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