ユニバーサルデザイン
年齢や障害の有無にかかわらず、だれもが使いやすいデザインを意味する「ユニバーサルデザイン」。近年「バリアフリー」からより進んだ考えとして使われるようになりました。何らかの障害を持つ特定の人から万人のためのという広い範囲の視点で社会を考えていくことです。衣、食、住、職、遊、学、通、いわゆる私的にも公的にも屋内屋外全ての関係でユニバーサルになっていこうとすることです。川内美彦さん(建築士)は「バリアフリーはバリアー(障害)の社会的存在を前提とし、それらを軽減しようとする考え方。したがってバリアフリーは障害者差別を温存・助長する。」とその限界を指摘しています。このことからユニバーサルデザインが「万人の」との意味合いからバリアフリーを包括した言葉として日常生活にさまざまな形として現れ始めてきています。
このことを考えると、2000年期は新生と再生の時代かもしれない。日本は太平洋の端でアジア大陸にへばりつくように細長く位置する島国です。世界の三百六十分の一、アメリカの二十五分の一、その小国が実に戦後四十数年にして、GNP(国民総生産)で1988年三兆ドルにたっして世界第二位の経済大国になりました。この三兆ドルとは、第一位のアメリカの約60%、西ドイツ(統一前)の約2倍、フランスの約3倍、イギリスの約4倍の勘定です。また、一人当りのGNPは88年二万ドルを超えてアメリカを抜きました。スイスに次ぐ世界第二位なり、世界一の債権国日本は1981年経常収支が黒字に転じて以来年々黒字を増大させ豊かな国になりました。しかし、国民としては豊かさの現実を実感として生活の面から感じられてはいませんでした。経済力と生活意識にギャップが生じていました。経済発展を優先させてきたことは、個々人の価値観やライフスタイルなども画一的にさせ、ともすると画一からはみだしたり逸脱するものは排除の憂き目にあってきました。しかし、経済発展が達成され、経済的欲求が満たされてくると「公平さ」より多様な価値観を許容する「自由」が求められるようにまりました。物の豊かさから心の豊かさへの変化です。このことは、「都市化」への反省でもありました。戦後の急速な経済発展は急激な都市化をもたらしました。「手入れ」のない造りっぱなしの都市化です。都市化というものは近代化という歴史の進展に大いなる信頼を寄せて機能主義で進んでいくことです。いわゆる経済機能に偏った発展になるわけです。都市は椅子社会ですから椅子の配置図画が都市計画になります。人は入っていないのです。「都市化」とは機能主義が人に優先して組みこまれたからです。都市は災害その他で物、金の対処は良く出来ていますが,人への対処が出来ていません。ハートビル法などありますが、所詮法律です。人は人が人の為に何ができるのか法律以前として都市自体がボランティア構造を機能的に備えて全ての生活者が不自由なく生活往来できる環境になることが人の活きる都市でありその考えがユニバーサルデザインを生き生きと発展させることになると思います。
「衣」の世界
ユニバーサルファッション協会。今井啓子会長は、「ファッションをいつさいの枠から開放し、性、年齢、体型にとらわれない「個」のものにしなければなりません。つくる側と着る側、双方に意識革命を求めているのです。」と語る。(日経バリアフリーガイド抜粋)
遊ぶ世界
なんといっても「東京デズニーランド」でしょう。国境を超え国籍、性別、年齢、障害関係なく子供から大人まてが遊べる。園内全体がユニバーサルデザインで特別に際立つことなく自然にデザインされている。
ここに日経バリアフリーガイド2000年版「時代はバリアフリーからユニバーサルデザインへ」の記事の抜粋を列記させていただきます。
人生一番大きな買い物は家です。バリアフリー住宅というと段差のない床や壁の手摺などを思い浮かべる人が多いと思いますが加部さんは「それは必要条件にすぎない。」生きるエネルギーを与えてくれるような家こそ本当の「バリアフリー住宅」です。と語る。加部千賀子さん(建築士、(株)ビラ・プランニング主宰。新築、リフォームを問わず、高齢者の為の住宅、施設、マンションの設計に力を入れている。)の高齢者の家の設計に心がけていること。
1)家族とのふれあいや、人との交流を大切にできる空間である。
2)外部空間を室内にとりいれる。光と風が十分に入るような窓をつけ、時の移ろいや季節の変化を肌で感じられるようにする。
3)空間を細かく仕切らない。見通しをよくしいろいろな要素が目に飛び込んでくるようにする>
4)楽しんで調理できるように、キッチンを工夫する。
5)収納の工夫。物を死蔵させず、使う場所の近辺に収納する。
6)室温を一定にする。高齢者の家には低温床暖房が適している。
7)色彩は明るく穏やかな色にする。
8)照明は若年層の2ないし3倍の明るいものにする。
9)身体にやさしい自然素材を積極的に使う。
その他に、毎日の暮しが楽しく、変化に富んでいると脳は刺激を受けて活性化する。生きる意欲も湧き、行動も活発になる。空間づくりの工夫が、蝋化防止にもなる。世の中はデジタル時代ですが高齢者のための家づくりにはアナログの要素を生かすことも大切だと考えています。また、目で見て手で触れて感じられる、やさしい素材を使う工夫もしているとのことです。
バリアフリーな浴室の必要条件
1)脱衣室と浴室の段差をなくし、少なくとも上下運動するところには手摺をつける。
2)介護浴が可能なように洗い場を広くする。
3)出入り口は引き戸にすること。引き戸にするのは、開き戸のように扉が邪魔にならないし車椅子を利用するようになった場合、浴室内へ介助の人が抱えて入れる。万一転倒した場合でも救出ができる。
4)すべり止めなど転倒対策をする。
その他、段差は3ミリ以下。排水溝はドアと反対側に設置、ドアは一枚戸より3枚戸で間口をできるだけ広く取る。個々人によって使用は異なるのでその人にあった必要条件を将来を考慮して考える。
福祉住環境
国の高齢者住宅施策
1988年から1992年までに行われた建設省の高齢化住宅に関する総合プロジェクトは、1995年建設省住宅局長名で「長寿社会対応住宅設計指針」として通知されました。具体的な施策として展開したのが住宅金融公庫と年金福祉事業団です。住宅金融公庫は「バリアフリー基準」「高齢者設備融資基準」。年金福祉事業団は「年金バリアフリー融資基準」の制度を実施しています。両者を併用することもできます。
高齢者、障害者の生活
平均寿命が80才になった今日、住宅内での生活時間は長くなりました。後期高齢者(75才以上)の片が多くなり、この年齢に身体機能の低下が顕著になってくる。加齢による身体機能の低下は長年住んだ住宅に問題が生じる。
問題点
1)住宅内の段差。玄関の敷居、上がりかまち、廊下と和室の境、洋室と和室の境、脱衣室と浴室の境など生活動作に障害となり転倒事故の原因になっている。
2)住宅は尺貫法で建築されているため廊下、階段、開口部の幅員が介助を必要とした場合に狭く、福祉用具の使用の際や室内移動の面で適さない場合が多い。
3)部屋面積が狭いところに生活の洋式化から家具類が多くなりますます狭くなっている。
4)和室の生活様式は畳にすわる、トイレでしゃがむ、など上下動作が大きい立ち座りで高齢者の身体機能を考慮すると不便である。
5)日本の住宅は夏場にあわせている為室内の温度差が大きい。
6)身体機能の低下により介助、杖、手摺、車椅子などの福祉用具を利用する場合に構造上の制約があり十分に効果を発揮できないことがある。
例・・・手摺の取りつけ間柱に取り付ける場合間柱の太さが足りない為ビス3本で固定するところ2本でしか固定できず強度と安全性に問題が生じる。
このような構造上や使用面積の工夫をしないことにより寝たきり高齢者は「寝かせきり高齢者」ともいわれています。
住宅に関わる事故死の状況(厚生省「人口動態統計・平成8年」・警察庁交通局「交通事故統計・平成8年」より)
交通事故・・・・全体で4896人
住宅内事故死・・・・溺死(浴槽)32.4%・同一面での転倒10.0%・階段からの墜落、転倒3.7%・建物などからの墜落2.2%・その他51.7%で合計事故死の人数は7585人となり交通事故死を上回っています。その他とは火災事故、有害物質などによる中毒死、他です。
事故の原因は本人の不注意が多いとされていますが住宅構造が加齢による注意力の低下、運動機能の低下に対応していないことも大きな原因と考えられます。
住宅内環境
女性の社会進出、少子化などにより家庭内に以前のような介護力がなくなりました。また、高齢者自身の自立、意欲の拡大、生きがいや介護量の軽減など家族関係の円滑化にも環境整備は必要と考えられます。
福祉
憲法に「全ての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国はすべての生活場面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」あり年月を経て広く、所得、住宅、雇用保障などが社会福祉として理解され今日に至っている。
これからの福祉はウェルフェア(事後処理的対応)からウェルビーイング(人権の尊重、自己実現)へと変化していく考えです。ここにノーマライゼーションの考えがあります。「ノーマライゼーション」は「どんな障害があろうと一般の市民と同等の生活と権利が保障されなければならない」ということでデンマークのB・ミッケルセンが提唱し1959年デンマークの法律として成立されました。1971年国連で「精神薄弱者の権利宣言」として結実。
リハビリテーション
今日的には総合リハビリテーションとして単に機能回復だけに限定されず障害者の全人的復権で社会の側に人間的発達を拒んでいる物があればその社会を変革することも社会的リハビリテーションと考えられてきている。バリアフリーも社会的リハビリテーションの具体的実践です。
自立支援
「高齢者が自らの意思に基づき、自立した質の高い生活をおくることができるよえう支援すること」で専門家の一方的判断ではなく高齢者障害者が主体で生活習慣や価値観などが尊重されるものでなければならない。
住環境整備チェック項目
身体障害・・・・なし・あり(症状     )。障害者手帳の有無。障害等級。視覚、聴覚の障害の有無。
健康状態・・・・日常生活への影響、良好・問題なし。生活に影響ある、問題あり。疾病名。医師からの制限。
移動動作・・・・寝た姿勢からの起き上がり・何も使わずに一人でできる。道具を使えば一人でてきる。介助が必要。
         椅子などに座っている・数分間でも一人で座っていられる。背もたれがあれば数分間一人で座っていられ         る。座っていられない。
         椅子などから立つ・杖など使わずに立てる。杖を使ったり、つかまって立てる。介助が必要。立てない。
         歩行する。・一人で歩ける。一人で歩けるが見守りが必要。介護が必要。歩行できない。
         手摺の使用・なし、あり(種類)。杖、歩行器の使用、なし・あり(種類)。超えられる段差(mm)
         階段を上がる・一人で上がれる。一人で上がれるが見守りが必要。介助が必要。上がれない。
         手摺の使用・なし、あり(種類)。杖、歩行器の使用・なし、あり(種類)。
         車椅子の使用・屋外を自力走行できる。屋内だけ自力走行できる。介助が必要。
         台などへの乗り移り移動・一人でできる。乗り移りできる台の高さ(mm)。できない。
         その他の移動方法
         はって移動。座り姿勢のまま移動。あお向けのまま移動。その他。
排泄動作・・・・小便・一人でできる。ある程度介助が必要。全介助。方法、機器の種類。
         大便・一人てできる。ある程度介助が必要。全介助。方法、機器の種類。
入浴動作・・・・一人てできる。ある程度介助が必要。全介助。方法、機器の種類。
更衣動作・・・・一人でできる。ある程度介助が必要。全介助。方法、機器の種類。
食事動作・・・・一人でできる。ある程度介助が必要。全介助。方法、機器の種類。
調理動作・・・・一人でできる。ある程度介助が必要。全介助。必要なし、しない。方法、機器の種類。

家族状況

住宅状況
所有形態・・・・持ち家。民間賃貸。民間間借。公営住宅。公社。公団住宅。給与住宅。
建築形態・・・・一戸建て。集合住宅。
建築概要・・・・主用構造・木造。鉄筋コンクリート。鉄骨、鉄筋コンクリート。鉄骨構造。その他。

以上、上記のチェック項目が基本部分としてありますので住宅の整備をする場合に参考にしてください。業者との打ち合わせには意見、要望をしっかりと伝えて納得して見積もり、工事に入ってください。納得できなければ業者を変えましょう。
また、建築、リフォームで既にユニバーサルデザインのものが販売されていますので研究して取り入れていくとよいでしょう。

福祉住環境整備の基本技術
段差
屋内外段差・・・・スロープの使用が原則ですが、勾配がきつい場合や設置面積が狭い場合、高さの問題でスロープ設置が困難な時、段差解消機を使用します。スロープの勾配は1/15が望ましい。健康状態によっては1/12まで緩和できる。
和室洋室の段差・・・・和室は洋室よりも30〜50mm高くなっています。和室の床を下げるか洋室の床を上げるかですが面積的に和室のほうが狭いので和室の床高を洋室の床高まで下げる方法がとられます。簡単な方法としては断面が直角三角形をした「すりつけ板」を段差部分に貼りつけて段差解消する方法もあります。
建具の敷居段差・・・・引き戸の敷居は床面にV溝レールを埋めこみます。段差の設計寸法は3mm以下。5mmを超えるとつまづきの原因になります。
手摺
手摺の取りつけ・・・・加部の下地を補強する必要があります。石膏ボードは耐久性、保持力がないので直接取りつけることはできません。また、間柱は太さがビス2本を受けとめる幅しかなく通常手摺のビスは3本で留めて支持力が出ます。ですから下地の補強が必要となります。
廊下の手摺・・・・高さは750mmが標準の取りつけ高さです。使用する人の大腿骨付け根の大転子骨(付け根のコリコリ部分)の高さが適しています。
階段の手摺・・・・階段の段鼻(踏み板の手前先)から墓って750〜800mmの高さが目安です。
浴室の手摺・・・・出入り口用縦手摺。浴室内姿勢保持、立ち座り用L型手摺。浴槽出入り用縦手摺。洗い場立ち上がり用縦手摺。で浴槽の形状や移動方法で手摺位置の検討が必要です。
トイレの手摺・・・・L型手摺が適しています。便座先から150〜300mm高さは便座から250mmを目安に取りつける。
手摺の形状・・・・直径28〜34mmが握りやすい(握って指先が触れる程度)。手摺の端は壁が輪に曲げこむ。支持金具は下部゜から受ける形の物がよい(手を滑らせる時邪魔にならない)。
玄関
玄関スペース
車椅子の出入りを考慮すると間口1365mm確保できていれば良い。ベンチ、式台、介助者のスペースを考慮すると間口は1820mm程度必要。
段差
できるだけ段差なく平坦が良いが、上がり框の段差は180mm以下が昇降しやすい。
式台、ベンチの利用
上がり框の段差緩和として式台で段差を等分して昇降しやすくする。式台は幅500mm奥行き400mm以上が靴、スリッパの使用上望ましい。
ベンチを利用して座ったまま履物の履き脱ぎができるようにすると良い。
手摺
上がり框昇降に使用するので框の真上に縦手摺を設置する。高さは床面から700mmを下端で長さ600mm以上の手摺を設置する。
仕上・塗装
上がり框と床面は段差がハッキリするように色を変える。
廊下
廊下の幅(幅員)
通常の設計で105mmの角柱を使用すると柱の芯から芯で有効幅員は780mmになります。この幅は伝い歩き、介助型車椅子の使用ができる目安です。自走型車椅子(車輪を手で回すハンドリムが付いている物)使用の場合は850mmが目安になりますが1061mmの幅員が確保されると移動が楽です。
仕上・塗装
傷が付きにくい仕上や傷が目立たない色の塗装、車椅子のタイヤゴムと同系色の床材を選択すると良いでしょう。
また、廊下の壁側は腰板を張った仕上にしておくと手摺を必要に応じて取りつけられます。
照明
明かり付きのスイッチを採用して、明暗順応に適した適度な薄暗の照明器具を寝室からトイレまでの動線の要所に設置する。
階段
高齢者の寝室は1階が理想ですが住居の関係で2階になる場合一番危険な場所となります。照明は足元、段差の確認がてきるように足元に常夜灯的な物を採用する。階段寸法は踏面(足が乗る面)幅300〜400mm、蹴上げ(踏面から踏面の高さ)100〜150mmが目安。
手摺
取付位置は踏み面から750〜800mmを目安として、太さは32〜34mm径程度で連続手摺が望ましい。連続でない場合は途切れる端と端の間が400mm以内になるように設置する。手摺の端は壁がわに曲げこむか曲がっているデザインの物を使用する。
ノンスリップ
ノンスリップを踏み面の段鼻部分につける。ただし、材が厚い物だと突起してかえって躓いて危ない場合があるのでその場合は突起する厚さの分だけ設置する個所を埋めこむように加工する必要がある。
トイレ
寝室に近い場所か隣接が望ましい。
スペース
通常の自立排泄動作ができる場合は間口910mm・奥行き1365mmが通常トイレスペース。介助者が伴う場合は間口1365mm・奥行き1515mmが必要となる。トイレ内に車椅子が入るようにする為には奥行き1820mmが必要となる。介助動作のためのスペースは便器側に500mmの空間ができるように便器の設置を対象者と介助者で良く打ち合わせて考える。
手摺
縦手摺、横手摺が一体になっているL型手摺を使用。又、車椅子に適した可動手摺がある。太さは28〜32mm径のものがよく、樹脂製、木製が官職が良い。横手摺部分を便器の中心から350mmづつ振り分け、左右対象に、便座の座面から250mm程度の高さに、縦手摺部分は便器の先端より150へ300mm程度前方になる位置に設置する。縦手摺、横手摺別々の物も位置はの目安はL型に同じ。
建具
トイレの建具(ドア)は通常600mm幅の物が多い。750mm以上で引き戸が望ましい。開き戸の場合は外開きが良い。設備として暖房器具は埋めこみ式が望ましいがパネル式などの輻射暖房で足元を暖める物が良い。
洗面脱衣所
スペースとしては間口1820mm・奥行き1820mm有るとベンチ、椅子を置いて着脱衣や洗面動作が介助者スペースも確保できてしやすくなる。床面は下地に耐水性合板、耐水性で防水効果のあるシート系の床材を使用する。設備機器は色々配慮された物があるので実際に見て触って試してから選択したほうが良い。カウンター式にすると麻痺や症状の違いを使い勝手の部分でカバーできる。カウンターの設置高さは750mmを目安。
浴室
スペースは間口1820mm・奥行き1820mmが望ましい。浴槽は和洋折衷型で外寸長さ1100〜1300mm・外寸幅700〜800mm・深さ500〜550mm程度を目安として洗い場の床からの高さが400〜450mm程度にするとベンチに腰掛けて入ったり、立ってまたいで入るのにも入りやすい寸法。
浴室の出入り口は段差を3mm以下が望ましいため排水は出入り口から離れた(反対側)ところに設置、出入り口部分には洗い場の水の排水溝を設置して溝を細い角パイプを平行に作成した堅固なグレーチングで蓋をする。水勾配は排水の関係から出入り口とは反対側にする。
通常の浴室の出入り口段差は100mm前後あります。解消法として洗い場に「すのこ」をひく方法があります。この場合衛生を考えてすのこを幾つかに分けて製作し、ゴムを足部分に付け、乾燥しやすくガタツキのないものをにする。手摺は1・出入り口用縦手摺。2・洗い場立ち座り用縦手摺。3・洗い場移動用の横手摺。4・浴槽またぎ越し用縦手摺。5・浴槽内立ち座り用L型手摺の設置が必要。換気は室温の調整ができる換気扇併用型の暖房器具にすると良い。
台所
高齢者や障害者が使いやすいコンパクトな物で無駄な動作をしないですむように本人の意見で造られることが望ましい。調理器具は利用者が使い慣れた物が使えることを基本に安全性に考慮して採用する。ユニバーサルデザインの物もあり展示などで確かめてみる。
その他にも寝室、家具など色々あります。ここに列記した物は目安です。百人百様で個々で違います。その人に合った物にするには工夫と言うプラスアルファが必要です。ユニバーサルデザインいい言葉です。ここに自立と言う創意工夫で生活するエネルギーがプラスアルファしてより良い生活空間が広がることを考えると2000年時代がユニバーサルデザインされる時代です。

◎下地補強の方法
 ・真壁で小舞竹・木ずり・ラスボード(石コウボード)
  などの場合、壁がもろく耐久性、保持力がないので
  柱と柱の間に耐久性、保持力のある材で補強し
  その材に手摺りを取り付けます。



・大壁の場合は石コウボード・合板を使用して壁材を
 貼ってあるものがおおく、やはり耐久性、保持力が弱い
 特に手摺りの取り付けは3本のビスで保持力が発揮
 される構造であることから、壁に組み込まれている
 間柱は3本のビスを受ける巾はなく、ビス2本分の巾で
 しかない。そこで真壁と同様補強方法と下記
 の様に腰壁タイプの補強方法がある。



・玄関の手摺り、トイレの手摺りなども真壁・大壁の要領で
 壁の構造を考えて方法を選択して取り付けをして下さい。
 トイレの手摺りはL型手摺りも使用しますので合板
 厚15mm以上のものを壁全体に張り込んで補強する
 必要があります。
・玄関ホールの壁面に腰板を貼っておくと手摺りを取り付けやすい。

・式台の高さはあがりかまちの高さの等分を目安

・収納があったり、手摺りが取り付けできない場合、収納物を利用して、天板に手をつける様にする。


・腰の大腿骨付け根の大転子の高さが目安


浴室の形状と移動方法を考えて必要な手摺りをつけます。



・和室と洋室の段差は25〜30mm程度和室が高いのが一般的です。
この程度の段差はすりつけ板を使用することで解消できます。

・居間と和室の段差が200mm位いに作られている場合はすきつけ板では解消できません。この場合は式台を使用します。段差の等分の高さ(2/1)の式台を取り付けます。次に手摺りの取り付けが困難なため、代りにテレビ又はサイドボードなど手摺りの代りになる安全性のあるものを設置して段差の乗り降りが安全にできる様に工夫します。高さは可能なかぎり低い方が楽であることから式台1つでなく階段状に工夫したりする。




・式台とすのこを使用した、出入り口と洗い場の段差解消。

・車椅子使用の場合スロープを使用するかリフトを使用すると便利です。











・家具は地震時にははねる、すべる、たおれるの動きをします。
 原則的には壁に固定する家具は上下で固定します。
 又、両面ハッチやカウンターなど仕切的に使用される家具は床に固定します。

・家具は高さが低く断面が正方形に近くなるほど安定はしますので固定は壁でも床でも良いですが、原則として仕切りようで床にしか固定できない家具意外は壁固定が効果が出ます。



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