第10回企画展  丘の向こうに 門脇 篤

 

作者の言葉

 
    ここに展示させていただいた絵は、もっぱら私の住む仙台近郊の農家を題材にしています。
100万都市とはいえ、少し入ればそこには今でもこうした風情を見受けることができます。これらの農家は主に開拓で入って来た人たちで、人の力で山を切り開き、土地を耕していきました。そこには圧倒的な機械の力を背景にした暴力的な行いではなく、自然と闘う生身の人間というものがありました。
私はそこで結ばれた関係のようなものをたどろうと、いく度もこれらの土地に足を運びました。
ゆく人もない丘を歩き、かつて使われていた納屋の中にたたずむことで、私は限りなくこれらの場所とひとつになっていくのを感じました。これらは私だと言うこともできるでしょう。私はこれらの絵を通して、自分を描いているのだと思います。
 
美術とは畑違いのところを歩んできたために美術関係の知人もおらず、まるで人里離れた山の中、ひとり修行するような気分で絵を描いた私に、こうして企画展をもちかけてくださった飯村さんに感謝いたします。

また、インターネットを通じて、さまざまな方のお仕事を知り、交流を持つことができる喜びをかみしめつつ、今後ともがんばっていきたいと思っているしだいです。

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空き地

野外制作を始めた頃、家の近くで。
見るものすべてが複雑に見えました。
 
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ビッグバード

春の小川に倒れかかる木。
ビッグバードの脚を思わせる。

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かつてここにあったものが

今は使われていない牛舎の二階。
差し込む日差しがとても美しかった。

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丘をこえて 

今は使われていない牛舎から丘をながめる。私の今歩いてきた道。

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この枯れた土地を一生の間描きつづけてもいいと思った

丘をゆくと草刈機がある。それは静かにたたずんでいる
 
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日の当たる場所

秋の、冷え込んだ空気の中で描く。
ときおり日向に立って暖をとる。

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枯れ野

枯れた野はいいにおいがする。
足の裏にもいい感じがする。

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屋根裏

この屋根裏には干草がある。
ときおり猫たちがのぼっていく

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冬の女王

雪の上をゆく船団のような、
りんとしたこれらの小屋。

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冬の森

近くには修道院がある、
だれひとりゆく人もない森の中。

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