「作者の言葉」
井出さんの切れ味のよいクロッキーが、狩猟の技とすれば、私の油彩はどう表現したらいいの
か・・・画面の中に、イメージの小さなかけらを産みつけ、育て、あるいは磨きつづける手法
で も
いいましょうか。幾重にも重ねられた絵の具の層が透明度を増して来たら、そこに描かれた女に
も生命が宿る時。
筆を重ねて、より柔らかく、よりあざやかに、より深く現したいのです。
月に照らし出される女というよりは、内側に光源をもつ女。内からふんわりと灯がともったような
女を描きたいのです。そして、いつかは男を描きたい。
少女が、あえなく、その眼差しに射貫かれてしまいそうな、水晶のような美しい男・・・。
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