1-06シナリオ [光ファイバ通信と糸電話]       

・これは、光ファイバ通信を説明する前の予備知識として、通信ということを説明しようという図なんですが、糸電話と比較してみました。

糸電話の場合は、声の振動がそのまま振動板を震わせ、それが糸を伝わってゆきますが、光ファイバ通信の場合には、一旦、光ファイバを伝わる光信号に変換されてから伝えられ、受信側で音の情報に戻されます。銅線を使った、メタリック通信でも、この信号変換のところで、電気信号に変換され、こちらで、音の情報に戻されています。文字通信なんかですと、単なる信号変換だけでなく、文字と符号とを対応させる辞書も必要になりますし、ファックスなんかですと、画像情報を一次元走査して、明暗の信号や、カラー信号を伝送できる信号に変換して、送受信しています。この信号変換にまつわるところが糸電話と本質的に違うところでして、ここでのキーワードは、「符号化」と「多重化」さらには「辞書」という言葉です。

 符号化というのは、直感的には、モールス信号が分かりやすいと思います、SOSを送るのに、光の断続で、・・==・・と送るわけですね。文字や声の情報を光の断続というか、0,1の組み合わせに変換して送受信しているですね。

 多重化というのは、一本の通信線路に多数の人に情報を重ねて同時に送ることですが、プリズムで波長分解できるのを利用して、赤はAさん、青はBさん、・・・と割り振った波長多重を考えていただくと分かりやすいと思います。

多重伝送するためには、伝送路には、赤い光だけではなく、青い光や他の光まで通すような低損失波長帯が求められます。

時分割多重になりますと、幅の狭い、高速のパルスを使うほど、多重度が取れるというので、伝送線路には、広帯域性が求められます。このあたりが、通信回線が糸電話の糸や、電力用の電線と一番異なる点になります。

 この間、e-Learningのテスト問題教材作りで、人間の5感(視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚)情報のうち、現在の電気通信技術で送れないものは何ですか?という設問がありまして、触覚情報はどうかね?という話になりました。世の中、マナーモードなんてのもありますから、皆さんはどう思いますか?あの席では、マナーモードは制御信号であって、伝達情報ではないので、送れないという意見と、いやいやそれは、辞書だけの問題だから通信技術的には、理論上、送れると意見に分かれました。ちなみに、制御信号というのは、電話のベルを鳴らす信号のことで、糸電話にはありません。

この間ドコモの展示会で、携帯の着信ベルと同時に匂いが出るというお土産がありました。

物質輸送用の辞書ができるとSFの世界が実現できることになります。 

いずれにしましても、この変換辞書は、これからますます重要で、大もうけできるビジネスチャンスですので、是非、いい辞書を作ってください。