1-08シナリオ [光ファイバ構造] 

それで、光ファイバの場合には、透明性と広帯域性を得る為に、単純な裸のガラスファイバではなく、屈折率の分布を制御した構造を持っています。光ファイバによる導波の原理は、全反射でありまして、この三種類の構造に固まる前には、鏡を並べた導波構造や、液体コアファイバや中空ファイバなんかも検討されましたが、現在生き残っている、典型的な光ファイバ構造は、この3種類です。

 右側の写真は、ファイバ断面の顕微鏡写真で、上二つが干渉顕微鏡写真です。

中心部分の屈折率が高くなっておりまして、光はクラッドとの界面で全反射されながら伝わってゆきます。  ステップ型ファイバのこの部分はバリア層と呼ばれているものですが、後ででてくる、水の浸入を防ぐ為のものです。一番下の単一モードファイバは、干渉縞が見にくいので、通常の透過写真を示しています。

 このスライドで大事なことは、

光ファイバは、コアの形状、即ち、光ファイバの構造で分類されているということでして、上から、

(1)ステップ型光ファイバ、(2)グレーデッド型光ファイバ、(3)単一モード型光ファイバと呼びます。

通信用では、クラッドの外形が、いずれも、125μm、コア径はステップ型とグレーデッド型では50μm、、単一モードファイバで約8μmと決まっています。

 

  それで、帯域の話しですが、

ステップ型光ファイバでは、全反射角度の異なる伝搬光が存在しまして、この一つ一つをモードといいますが、複数のモードが存在するという意味で、マルチモードファイバと呼ばれます。 大きな全反射角の光は、光路が短いので、速く伝わりますし、全反射角の小さい光は光路が長く遅くなってしまいます。このようにモードによる伝播時間の違いをモード分散といいまして、入射パルスが出射端ではなまってしまいますので、多重度がたくさんは取れません。このことを、ファイバの伝送帯域が狭いという言い方をします。

   グレーデッド型光ファイバは、このモード分散を解消という工夫でして、コア内の屈折率が放物線的に変化しておりまして、中心ほど高く、周辺に行くほど小さくなっています。この場合には、全反射角の大きい光は、小さい光に比べて、中心部分、つまり、屈折率の大きい部分を通る割合が多いので、速度は1/nですので遅くなりますが、一方、全反射角の小さい光は、屈折率の小さい領域を通る割合が増えますので、速度は速くなるが光路長は長くなります。それで、光路長を速度で割った、伝達時間がモード間で差がなくなると、パルスのナマリがなくなります。分散の詳しい説明は後でもう一度説明したいと思います。

   単一モードファイバは、ステップ型光ファイバのコア径を単に小さくしただけですが、電磁気学的に、伝搬モードは一つになりますので、モード分散は無く、広帯域になります。