1-09シナリオ [光ファイバの伝送損失要因] 

この表は、光ファイバの伝送損失を支配する要因をまとめ、一部追加修正したものですが、大きく分けると、吸収損失と散乱損失に分かれ、吸収損失は、母材で決まる材料固有の紫外吸収と赤外吸収あり、外的要因から来る不純物吸収は、鉄などの遷移金属元素によるものと、OHによるものがあります。それから、散乱の方も、ガラス材料固有の散乱損失と、外的要因によるものに分かれます。

光ファイバの開発史では、まず、光ファイバの素材を単純な石英ガラスにきめ、この赤字の部分の損失要因を除く歴史という事になりますが、幸いにも、半導体技術の進歩がありましたので、遷移金属などのいわゆる不純物吸収は、比較的容易に解決できました。散乱の方は、素材を純粋石英ガラスは大変安定なガラスでして、この素性のよさから、外来要因の散乱は比較的簡単に解決されました。

マイクロベンディングというのは、昔、光弾性の実験で、透明なガラスに応力を加えると屈折率が変わるのが見えるという実験をやったのでないかと思いますが、石英ガラスは熱膨張係数の大変小さい物質で被覆材との熱膨張係数の差などから局所的な応力がはたらいで、局所的に屈折率の乱れが生じ、散乱が起こるというものですが、一時期話題になりましたが、比較的スムーズに解決されました。という事で、光ファイバの開発史は、一言で言えば、水の損失低減の歴史といえます。