2-12シナリオ  EP-3(2)長波長帯の伝送損失測定

 

これが、長波長帯の窓実証の鍵となった、測定系です。

1970年代前半、光ファイバの損失測定用検出器には、Si系のPDが使われていました。また、光ファイバの損失も大きかったため、「波長1.1mm以上の領域」の伝送損失評価は、ほとんど行われていませんでした。

 19759月ごろ、NTT茨城電気通信研究所でPbS検出器による損失測定実験      

が行われ、その後の「長波長帯の開拓」につながりました。その鍵は、非常に小さな入射角(NA)で評価するという点にありました。

 

これで感じますのは、NAを小さくすると良いというのは、できた後からは驚きでもなんでもないんですが、最初にこれに気づく人は、それまでに多くの経験と悩みを持った人だけなんだということです。これは、行為的直観の一つの例だと思います。

 

行為的直観というのは、私の恩師の口癖で、西田幾多郎の善の研究という哲学書にあるんだそうですが、「発見」とか「独創性の発現」には、飛躍が必要で、その飛躍はそれまでの行為を積み重ねた人にだけできるという考えです。専業主婦の私の家内に、量子力学からの飛躍を求めてもダメということです。日頃の努力が大切だということです。