3-05シナリオ:[光導波回路(2)] :講義では省略

 

これは、先ほどのプロトタイプを発展させて、実用に供されているAWG(Arrayed Waveguide Grating)というプレーナ型の合・分波回路で、NTTの子会社のNTTエレクトロニクスという会社が独占的に製造販売しているんですが、この開発で、最大の課題は、Si基板の上にSiO2の厚膜をつけるという事でした。どういうことかといいますと、基板は、半導体技術の成果物であるSiウエハが、不純物は少ないし、平面化加工性の良いし、導波路のSiO2とのなじみも良かろういう事なんですが、光の場合には、シングルモードファイバでも、コア径8μm、クラッド径125μmですから、導波路の場合には、50-60μmのSiO2膜をつけなくてはいけないわけで、御存知のように、石英ガラスの熱膨張係数は殆ど0でSiの方は大きいですから、厚膜をつけると反ったり割れたりしてしまうわけです。 結論から言いますと、SiO2 Particlesを火炎加水分解法で堆積してしているというところに独占的製造販売のノウハウが隠されていると思います。

NTTもかつて、電電公社時代には、製造は独占禁止法で禁じられていたのが、民営化NTTになって、ソフトとマーケットの小さい通信分野のハードに限って製造が認められるようになりましたので、光ファイバをメーカとの共同開発で進めたのとは、大きく様変わりしてきたように思います。

それから、光回路の場合は、光ファイバと違って、延伸操作が入らないので、コア/クラッド界面での散乱損失は格段に大きくなります。

光ファイバでは、20dB/kmだった損失目標値が、光回路では、 1dB/cm以下が目標値になります。

 

FHD=Flame Hydrolysis Deposition(火炎加水分解堆積法)

    :MCVDで精密に屈折率制御するのではなく、FHDで高速合成する。

Si基板上に厚膜(~50μm)SiO2を形成するのが課題。

  ┗=Ti添加SiO2(熱膨張係数を制御:コーニング特許)

       ┗=→いいものは良い。特許料は払えばよい。